「ズバリ、安倍の改憲とは何か」 高山俊吉弁護士の講演抄録
            (憲法と人権の日弁連を目指す会代表)
                改憲・戦争阻止!大行進 東京西部にて
                2018年10月20日

1 今改憲の臨戦態勢に入っている(注:以下敬称略)
 「スバリ安倍の改憲とは何か」、改憲は正に戦争の準備である。しかもそれが喫緊の具体的な当面の戦争の準備である。そして今改憲の臨戦態勢に入っている。

2 法案の数を限り、改憲案に集中する
  臨時国会は10月24日から12月10日までの48日間しかない。
  提出されている法案は、18年度の補正予算案と、出入国管理法の改正案など、全部で13本しかない。他の法律案の準備を止めている。これ自体が、緊急事態である。そして11月上旬までには、この補正予算を成立させると言っている。あとやることは改憲の審議に入ること。全48日間の勝負となる。

3 自民党総務会も憲法推進本部もすっ飛ばし、発議すると決定
  10月18日、自民党の憲法改正推進本部の文科省で安倍の側近、下村博文が、自民党の推進本部の幹部会合を開いて、「衆参両院の憲法審査会に、党の総務会と憲法改正推進本部をすっ飛ばした形で、憲法9条の自衛隊明記案を出す」と言った。
  基本的に国会に係る法案は全部総務会を通しているが、それをすっ飛ばすという。さらに推進本部の全体会合さえもすっ飛ばし、幹部会の承認ですますということ。それでも文句が言えないように、自民党の議員体制をこの間作り出した。

4 調整を断る公明党に、自民党単独で改憲案を提出すると通告
  10月20日のニュースでは、下村博文は公明党の憲法調査会会長の北村に、「(改憲発議は)自民党が単独で出す」ことを通告をした。
  公明党は必ず、選挙が近づくと平和政党を強調し、選挙が終わると戦争勢力に近づくという振り子をやっていて、選挙が近づいてきたから、改憲案で「自民党との調整はしない」と言った。
  国民投票法の改正については、自民党と公明党は「この国会でやる」と言っている。
  昨日19日、下村は、党本部で会合を開いて、憲法審査会を早期に開くということを幹部で確認をしている。自民党は普通のやり方、手順の踏み方は全部無視をする、そのことがこの2日間の間に確認をされた。すさまじい状況になっている。

5 3月自民党党大会で決定した、「年内改憲発議」の方針を、変えていない
  安倍の改憲日程というのがどうなっているかを、きちんと押さえること。
  今年の3月25日の党大会で、「年内に改憲を発議する」と提起して、確認されている。そしてこの方針の改定は一度も行われていない。つまり来年の3月までに、国民投票をやって、改憲をする。
  何故か。来年の4月には統一地方選がある、4月はそれで一杯になり、4月30日に天皇が退位し、5月1日に天皇が即位する。この時期には出来ない。
  来年の6月28日から7月28日の間に参議院選挙がある。参議院選挙が近づいたら公明党は「改憲」では動けなくなる。よって結論は今しか無い。

6 来年の参議院選挙で、改憲勢力は3分の2を割る、だから先にもっていけない
  来年の参議院選挙で、改憲勢力は3分の2を割り、参議院がつぶれる。その後総選挙が行われると衆議院でも3分の2を大きく割り込むと考えられる。安倍はそのことを誰よりも良く知っているから、改憲を先にもっていけない。
  2016年の前の参議院選挙のときに改憲勢力が3分の2を超えたが、議席で165席、3議席オーバーしてるだけ。自民、公明、当時の大阪維新の会、そして日本の心。これを併せて165。
  32の一人区で自民が21、野党が11。しかしその前では自民が29取っていた。その29が、21に減っている。そして来年の参議院でまたドンと落ちると見られている。
  2016年のとき、福島と沖縄で現職の閣僚を落とした。福島の岩城、沖縄で島尻、現職閣僚が落選した。来年の2019年6,7月には、これが再現するだろうと自民党、安倍が見ている。

7 労働運動では、改憲勢力が明らかに後退した
  年内の改憲発議必至と言えるのは、労働運動の状況から、改憲勢力が明らかに後退してること。改憲派の官製の労働組合、170万人の組合員を抱えるUAゼンセン、この組合大会が9月にあり、そこでは改憲推進決議が取れなかった。改憲労働組合が、提起もできなかった。逆に実際に今、日教組にしても自治体にしても、現場の闘いがどんどん進んでいる。市民運動の中でも進んでいる。安倍はそういう情勢が今あることを誰よりもよく知ってる。

8 安倍は断崖絶壁に追い詰められた、総裁選挙と沖縄県知事選
  安倍は断崖絶壁に追い詰められた。その第一が9月20日の自民党の総裁選挙。圧倒的勝利が予測され、新聞も圧倒的勝利を予測していた。しかし党員票が55対45の比率だった。党員の半分近くが支持しない党の総裁だ。しかも党員の4割が棄権している。棄権した人は支持してないと言える。安倍の顔面蒼白は全国に伝った。今日の読売新聞でも論説主幹の小田尚が、「自民党総裁選で、来年夏の参議院選の闘いは自民党にとって厳しくなった」と書いている。
  第2が、10日後の9月の30日に起こった沖縄の知事選での日本会議の中心にいる佐喜真の大敗。最後まで接戦だと報じられた。ところが39万対31万、8万票を超える大差だった。権力側は総体重をかけ命がけで物量・人員を投入してあの結果だ。
  豊見城の市長選も自民党推薦が負けた。千葉の君津でも自公推薦の市長が敗れた。それを一番今痛切に感じてるのは安倍だ。

9 辺野古の埋め立てで執行停止の裁判が出来ずに、仲間内への行政訴訟!
  玉城新知事が、県の辺野古の埋め立て承認の撤回ということをやった。それでもし、佐喜真が当選していたら、安倍は裁判所に執行停止の申し立てをしようとしていた。翁長知事のときにそれをやっている。
  今回、安倍はこの情勢の中で、裁判所に執行停止の申立てをしたら、裁判所も動揺するだろうと見て、出来なくなってしまった。それで何をしたのか、行政庁に対する不服申立て。不服申し立ては、行政不服審査法に基づいて、国や自治体が国民の権利をないがしろにしたときに、「審査請求」するもの。それを安倍がやった。
 しかもその申立は、石井という国土交通省、公明党の大臣のとこへやる。自分が大臣に選んだ人間のところに不服申立をした。司法に救済を求める事が出来ずに、自分が選んだ部下のところに申立をするしか方法がなかったことが、安倍の敗北だ。

10 「敗走のなかの安倍の暴走」、報道をしない新聞、超右翼の異常なキャビネット
  行政不服審査について新聞は「一部の学者はおかしいと言っている」、と評論するのみ。役所が役所に対して不服申立てをすることなどないから、行政不服審査法には、「政府は申立をする権限はない」と書いてない。書いてないことをいいことに申立をした。安倍は本当に今苦しいところに追い込められている。これは、「敗走のなかの安倍の暴走」だ。
  第4次安倍内閣は19人の閣僚のうち、15人が日本会議だ。安倍を先頭にして、超右翼の異常なキャビネットだ。安倍は最も自分に身近な、右寄りの連中で固めておかないと、この状況は突破できない。しかしこれで突破出来るかと言うなら出来ない。出来ないけれどそれ以外に方法論がない。

11 党人事も完全に改憲シフト、協調路線を一掃した
  党人事は、これも完全に改憲シフトにした。衆議院の憲法審査会、憲法については自民党でも憲法審査会で丁寧に議論するという歴史が今日まであった。今回、野党と協調路線を取っていた以前の防衛大臣中谷元と元科学技術長官だった船田元、全部首を切り、協調路線は取らない人事を刷新した。そして下村博文を幹事とした。これで丁寧な審議とは決してならない。丁寧な審議をしていたら、48日間がすぐに終わってしまう。
  自民党は、公明党への頼みを断られたことによって、単独で改憲案を提起する。自民党が憲法審査会に送り込んだ筆頭の幹事が、安倍の側近の新藤義孝、元総務相。下村自身が幹事に並び、こう言った。「完全に自民党はここでギアチェンジをする、加速をする、強硬派の強面で並んだ」と。
  高村正彦を最高顧問にした。こういうシフトも組んだ。48日決戦だから。

12 新聞がいう、「改憲のポーズ」などではない
  今、メディアでは、「来年の通常国会で議論を進める。そして改憲案の国会発議に至る道筋を探るのだろう」とか、「参議院選を控えての国会発議は、これから困難になるのではないか」と。「やるぞという姿勢を見せるポーズなのだろう」というのもあり、「改憲の旗を降ろさないのではないか」、つまりポーズだというのもある。
  情勢はそんなことではない。困難になることを承知だから今やってるということ。危機であるが故にそれを知り、将来はもっと厳しくなることを承知しているが故の現在の暴走なのだ。国民が反発しているから今やるという構造関係にある。

13 「9条の2」で、「人を殺してはいけない」⇒「場合によっては殺しても良い」に
  9条の2項を残して9条の2を入れるという。例えを言うと、9条の2項は交戦権の否認、軍を持ってはいけないということで、「人を殺してはいけない」ということ。人を殺してはいけないと9条の2項で言っておいて、9条の2にいくと、「場合によっては殺しても良い」と言ってる。これが同時に出てくる。
  「後法は前法を廃止する」という法律の言葉がある。「後から出来た法律が前の法律と矛盾抵触するときには、後の法律の方が有効になる」という理屈で、「場合によっては人を殺しても良い」、ということになる。
  2012年の憲法改正案を自民党が出した中では、憲法9条の2項は削ると言った。それに対して、石破は取り残される形になって、納得いかないと言ってる。
  何でもいいから、とにかく戦力を持つことについては憲法という裏付けがあるという状態をどうしても作る、あとは事実上の、あるいは一つ一つの憲法改正という形をとりつつ、全体を変えていくという、ナチスの主張そのものだ。麻生が言う通りナチスに学んだ。そういう状況にある。

14 この国会で、絶対に改憲案を提示させないこと
  私たちはどうするのか。まず基本的なその前提として、私たちは彼らをとことん追い詰めている地平に立っているという認識を持つことが第一。
  2番目は、48日決戦を絶対そこで勝ち抜くこと。この国会に、絶対に改憲の案を提示させないこと。今、このとき、徹底的にその闘いの照準をそこに置く。
  今、国民投票法で、メディアを全部買い占めて、投票日の2週間前までは、何をやっても良いということになっている。それこそ物流作戦、買収作戦で、財界は全体重をかけて、メディアを買収する。それはけしからんということをさすがに野党も言ってる。
  しかし、国民投票法の改正をこの11月の、この臨時国会の中に出そうということについて行く野党もいる。それをきっかけにしながら、改憲論議に持っていこうという目論見を自民党は持っている。これも許してはいけない。

15 全国に改憲戦争阻止 大行進の組織を 燎原の火のように広げよう
  全国に改憲戦争阻止、大行進の組織を作り運動を高めること。今ここでやってるような現状認識を全国に燎原の火のように、短期間に広げること。
  私たちは全体に今、力強く運動を進めているという状況にある。11月4日の日比谷野音集会、ここで多くの人が集まりたい。大行進の全国的な結集と、そして草の根の大行進運動の広がりと、これを絶対に実現したい。
  彼らは自分たちの状況が追い詰められていることを隠しつつ、顔面蒼白となっている。
  その状況を見抜く力をやっぱり私たち持たないといけない。皆に伝えることが絶対に必要だ。今このとき、また再び戦争への道を歩むことを絶対に許さないという闘いに弁護士も、私も頑張ろうと思ってる。みなさんと力を合わせて、本当に職場や地域に根ざした本物の闘いをこの時期やってみようじゃないか、ということを私は提案したいと思います。
            (文責 東京西部ユニオン)